JR小堺一機駅

ふと気付くとJR山手線に乗っていた。車内アナウンスが「次は小堺一機です」と告げている。
そこでわたしは、「ああ、そうだ。わたしはこれから小堺一機と飲みに行くのだと思い出した。

しかし考えてみればおかしい。わたしはこれから小堺一機と飲みに行くのだけれど、小堺一機駅に降りるのではないのだ。むしろ小堺一機駅に着いてはいけないのだ。考えてみれば小堺一機駅は逆周りじゃないか。どうしようどうしよう。いまから逆周りに乗ったら間に合うんじゃなかろうか、いや山手線は環状線だからこのままボーっと乗っていったら間に合うんじゃないだろうか。

そして楽な方を選んだわたしは乗り換えずにしばらくそのままボーっと乗っていた。しかしふと気付いた。待ち合わせは何時だったろう。時計を見たら7時5分前だった。そうだ待ち合わせは7時だった。このまま電車に乗っていたら、40分はかかるだろう。明らかに遅刻だ。

遅刻は遅刻として、じゃあどうしたら良いのかと考え、遅れます、と連絡を入れようと思った。しかし今日の小堺一機との飲み会に、他に誰が行くのかも、何名で飲むのかすらも、気付けば何も知らないじゃないか。そもそも小堺一機の電話番号も知らないのに、誰にメールや電話をしたらいいんだろう。だいたい遅れて許されるようなメンバーなんだろうか。そういえば小堺一機と初対面なんだから、他の人も初対面なんじゃないだろうか。

いやいやそれでも連絡は入れなくてはと思い、あらかじめぐるなびで調べて画面メモしておいた店の情報を確認しようと思って、携帯電話を手にしたら目が覚めた。

別にごきげんようの時間に昼寝してたわけじゃないのに。